
こちらの記事を見て、デジタル教科書の検討会の一次報告が出されたことを知りました。

調べてみるとこちらに掲載されています。

この中で、特別な支援を必要とする子どもの利用について、関係があるかなという部分のみ切り出してみます。
4ページ<教科書のデジタル化(ビューアの機能を含む)によるメリットの例>として
・紙の教科書の場合、細かい箇所を見る際、目を近づけるという行動をするが、ピンチアウト操作による拡大表示や、教科等によってはポップアップで図版や写真などを拡大して表示できることによって、目を近づけなくても細かい箇所まで見ることができる。
・機械音声読み上げ機能により、読み書きが困難な児童生徒の学習を容易にすることができる。
・アクセシビリティやユーザビリティが確保されれば、紙の教科書へのアクセスが困難だった障害のある児童生徒が教科書へアクセスできるようになる。
・端末だけを持ち運びすることとなれば、授業や家庭学習で用いる教科書の持ち運びの通学上の負担が軽減され、身体の健やかな発達にも資する。
8ページ【障害のある児童生徒や外国人児童生徒等への対応】として
(障害のある児童生徒に対する配慮)
○ 特別な配慮を必要とする児童生徒は、全ての学校・学級に在籍することを前提に、デジタル教科書に係る配慮内容を考えることが重要である。障害のある児童生徒に関しては、他の児童生徒に提供されている情報や行われている活動へのアクセシビリティをどのように確保していくのかという視点が必要と考えられる。
○ アクセシビリティやユーザビリティが確保されていれば、紙の教科書へのアクセスが困難だった障害のある児童生徒が、教科書へアクセスできるようになる。その結果、文章等の理解や把握がしやすくなったり、操作が容易になったり、障害等による学習上の困難が軽減されると考えられる。これらによって、児童生徒の自主的な教材へのアクセスが容易となり、学習意欲の増進、学力の向上に繋がると期待される。なお、デジタル教科書と連携して使用するデジタル教材に関しても、アクセシビリティやユーザビリティに配慮することが望ましい。
○ また、ユーザーインターフェースについて、特別な配慮が必要な児童生徒の場合、教科ごとに操作方法が異なることによる混乱が生じやすい可能性もあるため、一定の標準化を図る必要があると考えられ、その際、ユニバーサルデザインに配慮した仕様であることについても考慮する必要がある。
○ デジタル教科書が備えるべき特別支援機能については、障害のある児童生徒が支障なく使用することができるよう、現在のデジタル教科書に実装されている主な機能のほか、障害のある児童生徒にニーズのある機能の一定の標準化が行われることが望ましい。将来的には、デジタル教科書の全ての機能が障害の有無にかかわらず利用できるようユニバーサルデザイン仕様になることが期待される。
○ なお、文部科学省著作教科書(特別支援学校用)のデジタル化についても、令和3年度の予算事業を活用し、その実現に向けて課題等を抽出していくことなどが望まれる。
(教科用特定図書等との関係)
○ デジタル教科書においても、教科用特定図書等の機能の一部を包含するため、教科用特定図書等を使用している児童生徒がデジタル教科書の使用を希望することも考えられ、その場合には積極的かつ円滑に使用することが望まれる。一方、児童生徒の個々の障害の程度や特性、学習ニーズにより、デジタル教科書では対応できない部分については、教科用特定図書等や紙の教科書に対しても引き続きニーズが見込まれる。特に、点字教科書については、現在の点字ディスプレイでは図形等を表示することができず、点字教科書を完全にデジタル化することは現時点の技術では難しいことから、今後も製作することが不可欠である。なお、点字教科書と併用すると効果的な音声教材やデジタル教科書の在り方について、今後検討することが必要と考えられる。
(外国人児童生徒等に対する配慮)
○ 外国人児童生徒等は、個人の置かれた環境や日本での滞在歴等により抱えている困難が異なる上、在籍学級での授業や、取出し指導など、学ぶ場所も多様であるため、状況に応じたデジタル教科書の活用が望ましい。
○ 外国人児童生徒等の場合、滞在歴が長くなれば日本語能力が伸びていき、教科等についての知識及び技能も日本語を介して習得し、活用することができるようになってくる。それに伴い、児童生徒の学習参加の状況も変わってくるため、その様子をしっかり見取り、その状況に合った形でデジタル教科書やデジタル教材の機能を上手く活用していくことが求められる。例えば、ルビ振り、読み上げ、拡大表示、書き込み、マーキング等の機能により、効率よく内容理
解に進むことができると考えられる。
○ それにより、指導する側の教材準備の負担軽減にも繋がると考えられる。また、児童生徒の学びをより充実させるため、操作が簡単で自律した学びを支える機能の付加や指導方法の研究により、更なる成果へと繋がることが期待される。
なお、ここで「教科用特定図書等」とあるのには下記の注釈があります。
視覚障害のある児童生徒の学習の用に供するため、文字、図形等を拡大して教科書を複製した図書、点字により教科書を複製した図書、その他障害のある児童生徒の学習の用に供するため作成した教材(例えば音声教材)であって教科書に代えて使用し得るもの。
11ページ【教師の指導力向上の方策】として
また、障害のある児童生徒がデジタル教科書の特別支援機能を効果的に利用するための指導ができるようにする観点からも、教師の指導力の向上を図る必要がある。アクセシビリティが確保されたデジタル教科書やデジタル教材、教科用特定図書等は、障害のある児童生徒だけでなく、障害のある教師の指導を支援する上でも効果的であると考えられる。そのため、障害のある教師がデジタル教科書等を使用しやすい環境を整備したり、その活用方法等に関する研修を受けられたりするようにすることが重要である。
13ページ【デジタル教科書にふさわしい検定制度の検討】として
一方、将来的には、デジタル教科書の内容としてデジタルの特性を生かした動画や音声等を取り入れることも考えられるところであり、今後のデジタル教科書の本格的な導入に向けて、新たな教科書検定の在り方の検討が求められる。そのためには、実証研究の成果も踏まえつつ、今後、そのより具体的・専門的な検討を行うことが必要である。また、デジタル教科書については内容に関する検定のほか、標準的な機能や規格に関する基準を満たすことの確認をどのように行うか、更に障害のある児童生徒のアクセシビリティについても一定の水準をどのように確保するかなどの点も含めて検討することが必要である。(下線筆者)
14ページ【紙の教科書とデジタル教科書との関係についての検討】として
なお、紙の教科書とデジタル教科書との関係を検討するに当たっては、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する対応を考慮する必要がある。障害のある児童生徒の中には、教科書にアクセスする際に、発達の段階や教科等の特性にかかわらずデジタル教科書が必要不可欠なケースがあり、外国人児童生徒等も同様のニーズがある。そのため、特別な配慮を必要とする児童生徒の場合は、デジタル教科書を必要に応じて利用できるように配慮することが重要である。
以上かなと思います。
なお、特別支援関係ではありませんが、17ページにある下記の注書きはとっても大切な指摘です。
デジタル教科書は、より良い授業を構築し、児童生徒の学びの充実を図るための新たなツールとして期待されるものである。デジタル教科書の使用は、あくまで教育の質を高めることが目的であり、その使用自体を目的としたり、紙かデジタルかといった、いわゆる「二項対立」の議論に陥ったりすることのないよう、留意しなければならない。
どうしても、いいもの、悪いものというわかりやすい議論で論じられてしまいますが、大切なのは子どもたちの学びを保障することなのではと思います。今後の議論の方向についても引き続き注視したいところです。


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