【テレビ番組】NONFIX~自閉症児のために~闘う出張カウンセラー

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知り合いからこちらのテレビ番組を教えてもらいました。

NONFIX~自閉症児のために~闘う出張カウンセラー

NONFIX : ~自閉症児の未来のために~闘う異端の出張カウンセラー - フジテレビ

この番組を作ったディレクターの親戚だそうです。

反響が大きいなら、次回作が作れるという事で、いろいろな人に紹介しました。

伺うと、次回作だったようで登場人物の奥田健次さんのブログによると2014年からの続編だったようです。

NONFIX2021に出演(長文)
奥田健次(行動分析学者) official ブログ by ダイヤモンドブログ

テレビだけを見るのと、この奥田さんの解説を見るのでは大きな違いがあるでしょう。

つまり、テレビというのはある程度、視聴者に分かりやすい部分だけしか使えないから。

でも、本質を知ろうとするにはこういった解説は絶対に必要だと思います。

奥田さんの幼稚園のサイトとか

サムエル幼稚園 平成30年4月開園 御代田町 軽井沢
日本で初めての行動分析学による共生の幼稚園(長野県 御代田町 軽井沢)

オフィシャルサイトとか

奥田健次研究室

こういった情報も併せて見ることをお勧めします。

最後になりますが、紹介した知り合いからの感想を(本当はプロデューサーに送ったものですが)転載します。

長文になりますが、ご了解下さい。

番組を拝見させていただきました。

私は大学で特別支援学校教員養成の講義を担当しております。
奥田健次氏とは直接の面識はありませんが、その活動については存じております。また、私自身も兵庫教育大学大学院の出身であり、応用行動分析(ABA)をベースとした教育実践を行ってきましたので、奥田氏と基本的な考え方は同じです。

奥田氏の行動や指導は、見た目は奇抜ですが、ABAの基本に忠実です。これに加えて豊富な臨床経験からの小技(成功事例から導き出された細かい指導テクニック)が繰り出されるので、ある種魔法のように見えます。しかし、その行動は理論に導かれた的確なものです。
私は大学の講義で学生たちに応用行動分析の考え方をもとに子どもたちの指導にあたるように教えております。私のいる県にはABAに基づくコミュニケーション指導法であるPECSの研究会があり、学生の段階から参加する者もいます。PECSは県立子ども心身発達医療センターが就学前の子どもの療育に取り入れている関係もあり、自閉症のある子どもの保護者にはABAやPECSの考え方はある程度浸透しています。知的障
害を併せ持ち特別支援学校に進学する場合は、そこでも継続した指導が行われています。
この番組を学生たちに見せたら、十分その意図を理解するのではないかと思いました。同時に、奥田氏のセンスの良さに感心するのではないかと思いました。
番組は学習教材としては大変よくできていると思います。

さて、学習教材ビデオではなく、不特定多数の一般視聴者を想定した番組として考えたいと思います。教育番組ではないので、理論面はあまり強調することはできないとは思いますが、奥田氏の行動の背景にある応用行動分析について、日本の医療(療育)分野や特別支援教育分野においてある程度普及しているものであることは伝える必要があると思います。

奥田氏の卓越している点は、家庭への出張指導をされている点にあります。(これは他にないと思います。)自閉症教育に特化した幼稚園や小学校は学校法人武蔵野東学園(1964年創設)があり、各自治体の医療センターや発達支援室も継続した療育を行っています。視聴者が「自閉症教育は一般の学校では難しく、奥田先生の幼稚園や小学校のような先進的なところでしかできないのではないか」と思わないかという点が気になりました。
番組に出てこられたお子さんについては、たとえば県立子ども心身発達医療センターの療育を受けられ、特別支援学校等に進学されても、行動上の問題は解決し、コミュニケーションも可能になると思われます。(先にPECSの手法を使うので音声言語の使用より、文法構造の学習と活用が先に進むかもしれませんが、ゴールは変わらないと思います。)

また、テレビ番組は受け手へのフォローアップが難しいという問題があると思います。
かつてNHKは「奇跡の詩人 〜11歳 脳障害児のメッセージ〜」(NHKスペシャル, 2002)という最悪の番組を放送し、その後始末に失態を演じました。
この時は、各方面からドーマン法について批判が殺到し、第155回国会決算行政監視委員会で菅義偉委員(現総理)が板谷日本放送協会専務理事に対して参考人質問されるに至っています。
この時の指摘はドーマン法という米国では否定された方法が賛美されていたこと、講談社の販売促進との癒着がうかがわれることでした。(NHKはその後2013年に「魂の旋律〜音を失った作曲家〜」で再度講談社とのねつ造疑惑を露呈しました。)

第155回国会 決算行政監視委員会 第2号(平成14年11月14日(木曜日))

この時、障害のある子どもの保護者から「あなたの子どもの障害が重度なのは親の努力不足ではないか」と言われたとの報告があったとのことです。
そんな誤解が生じるような番組であってはいけないと思いました。

もちろん、奥田氏の番組はそうではないことは重々理解しております。ただ、視聴者の中にはそういった誤解をされる方もあるかもしれません。
癌の傷跡を見せるのは私はいかがなものかと思いました。(かく言う私も癌で手術を受けていますが、傷跡を人に見せることはしません。)
奥田氏の立ち振る舞いは、一般視聴者からは誤解を受けやすいので、その部分はあまり全面に出さず、指導センスの良さを出した方がいいかなと思いました。肯定的な解説をされる専門家(ある程度の肩書きのある方)の映像が加わっても良いかなと思いました。

余談です。
臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会認定の民間資格ですが、現在、国家資格である公認心理師資格をあわせて取得する流れとなってきています。公認心理師法(平成27年法律第68号)第42条第2項に「心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない」とあります
奥田氏は臨床心理士であり、あえて公認心理師資格は取得されていないと推測しますが、多くの臨床心理士はその業務の関係で公認心理師資格も取得されるようになってきています。
その場合、「主治医の指示」の項目がひっかかってきます。
県立子ども心身発達医療センター等各自治体の自閉症療育機関はこれに則って運営されています。
作成された「パーソナルファイル(個別の支援計画)」は就学後も引き継がれていき、「途切れのない支援」が行われていきます。
一般視聴者が「自閉症のある子どもの支援システムがない」と思われないような番組にしていただきたいなと思いました。

心理学を学ぶ学生や、卒業生は多いと思います。その方が、この番組を見られた(素人の)ご家族の方に解説できるきっかけとなるといいかなとも思いました。

もう一人

金森さんより番組を紹介いただき、拝見しました。

率直な観た直後の感想を申し上げると、いい感じで強度行動障害につながりかねない子供のことを取り上げてくださったなという印象です。現在、知的障害者教育論の講義で応用行動分析を簡単に解説するのですが、簡単な理論と実際の事例を結果も含め示しているので良い教材になるなということです。

少し余談になりますが、このように書く背景を申し上げると
文部科学省(2020)によると、特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状取得率は令和元年度 全体で83.0%です。(10年前69.5%)訳はあるのですが未だに100%でないのが驚きです。
また、小中学校の特別支援学級担当教員には、特別支援学校教諭免許状保有義務は法令に明記されていませんが、保有率は令和元年度 全体で30.9%で、10年前31.6%と比べると、対象児童生徒が倍増していることもあり、増えるどころか下がっています。
もちろん特別支援学校教諭免許状をもつことが、特別支援学級や通級指導教室で指導する教員の専門性の証ではありません。しかし、基礎資格としての幼小中高の免許に加え、特別支援学校教諭免許状を取得することは全ての大学で取得できるわけではなく、より多くの単位取得と特別支援学校での教育実習が必要なので、学生の主体的な学びの姿勢にかかっていると言えます。
これらは、何を示しているかというと、特に小中学校の教育現場で適切な指導と必要な支援が、子供のニーズに応じて行われているかどうか誰もわからないということかもしれないということです。番組の中で幼稚園設立され、次は小学校といわれたこともわかります。是非は別にして…
我々は、教育現場で即戦力となりうる特別支援教育の理解できる教員養成を頑張っているのです。

特別支援教育資料(令和元年度):文部科学省

https://www.mext.go.jp/content/20200916-mxt_tokubetu02-000009987_03.pdf

さて、本題に戻ります。
テレビ番組として考え、もう少し詳しく書くと、この番組はどんな背景のある、どんなニーズのある、どのくらいの人が観てるのか
そのうち教育や療育関係者はどのくらい?自閉症など自閉スペクトラム症の保護者は?更には当事者、本人は?
というのが気になりました。

この番組で取り上げられている実際の療育場面は、理にかなってます。応用行動分析の理論にそって正しいと思います。実際に好ましい行動が強化されて、その広がりが描かれています。
しかし、これを観た一般の保護者、特に自閉症のある我が子のしつけに悩んでいるお母さん達はこれだ!と、安易に真似をしてしまうのではないか。極端な場合ではなく、こうした子どもを持つ子供の保護者は追い詰められている場合が多いので、お菓子などのご褒美による行動強化でなく、体罰など虐待につながるのではと危惧します。何年も檻に閉じ込めていた事案もありましたね。
実際に番組でも両親は途中まで半信半疑の複雑な表情で、彼にすがるしかないといった表情でした。紹介された事例の様に、経済力もあり、求める教育を受けられる環境に転居出来る保護者に産まれて来る子供だけではありません。障害者、特に強度行動障害がある自閉スペクトラム症の人への虐待事案は無くなりません。関係者として悲しいです。

先程いい教材と申し上げたのは、特別支援教育専門科目の中で、教員が解説し、理解を促す事で、この番組の意図することを正しい理解につなげることができると思ったのです。
番組としては、テロップによる注意喚起だけでなく、応用行動分析学の専門家や強度行動障害の専門家による解説が必要かと思います

あともう一点は、障害のある幼児や学齢児を対象としたドキュメンタリーでは、成人後の事が描かれていないことが多い印象を受けます。
実際にこのような指導支援を受けた人はどのような社会参加と自立をして、夢や希望を実現させているのか。家族や地域とどのように共に暮らしているのか。
このような事が出来ていないと社会に‥‥とありました。この辺りの基準や価値観は千差万別です。実際に保護者や本人と進路懇談をしていても、驚く事がありました。
特別支援教育の目指す究極のところは、自立と社会参加です。企業就労するだけが望ましい姿ではありませんが、親亡き後も自分らしく地域社会の一員として生活する社会人となることも必要だと思います。まさにキャリア形成です。
そこのところも別企画で示せるといいなと思います。

我々の所属している学会でも、学齢期を対象としている学会では、同じ手法を取り扱っていても学齢期のみ。成人後の人対象の学会でも同様です。
前の職場でもそこをつなげられないかを考えましたが、簡単に変えられるわけもなく、こうしたマスコミの情報提供はとてもありがたいです。

可能な限りの応援はさせていただきたいと思います。
取り急ぎ感想を送付します。

 

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