【文部科学省】新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告

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表記の資料が文部科学省のWebサイトに掲載されました。

新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告:文部科学省

ICT活用については、多数の情報が書かれています。

以下、その項目の転載です。

Ⅳ.ICT利活用等による特別支援教育の質の向上

1.特別支援教育におけるICT利活用の意義と基本的な考え方

○ ICTは、障害の有無を問わず、子供が主体的に学ぶために有用なものであるとともに、特別な支援を必要とする子供に対しては、その障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じて活用することにより、各教科等の学習の効果を高めたり、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導に効果を発揮したりすることができる重要なものである。また、合理的配慮を提供するに当たっても必要不可欠なものとなりつつある。

○ 実際、これまで特別支援教育においては、ICTの活用が積極的に行われてきた。例えば、障害のある子供に対するICTを活用した学習指導において、テレビ会議システムを用いた遠隔教育は、病気療養児にとって、学校の友人関係や学習を途切れさせることなく続けることを可能にする方法であり、病気に立ち向かうモチベーションになるなど、大きな成果を上げてきた。各教科等の指導においては、単にICTを使用することを目的とした授業作りではなく各教科等の目標の達成を図るために必要な手段として、どのようにICTを関連付けて活用すればよいか分析する力を培っていくことが重要である。

○ 加えて、情報化の推進は、障害のある子供が、学校での学習や生涯学習、家庭生活、余暇生活など子供のあらゆる活動にアクセスすることを容易にし、更には自然災害等の非常時においても、そうした機器やサービス、情報を適切に選択・活用することで社会生活を可能とするという、大きな社会的意義をもっている。
こうしたICTを職業教育などに活用することは、遠隔で行う仕事のみならず、ICTを媒介にして、実社会での社会活動にもつながる点でも意義深い。

○ このように、ICTが、学習指導という側面にとどまらず、障害者が情報をやり取りし、社会によりよくアクセスしていくために必要不可欠な存在となっていることからいえば、早い段階から学校において、ICTに必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることが必要である。そうすることで、生活全般に向けた有力なツールともなり、障害者のQOL(Quality of life:生活の質)の向上にも寄与することが可能である。

○ また、ICTの活用は指導面の充実や、障害者個人にとってのメリットのみならず、教師の業務負担軽減などの働き方改革にもつながるものである。特に、特別支援教育に関する校務支援にICTを活用することで、個別の教育支援計画や各種情報の円滑な作成や共有が容易になるなど、学校の業務改善や学校・関係機関間の引継ぎ等の充実に直結することに留意すべきである。

○ なお、こうした技術は日々進化を続けており、近年では、VR(Virtual Reality:仮想現実技術)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)などの最新技術も、応用の可能性が広がっており、利活用可能なものは積極的に取り入れていくことが重要である。

○ 一方、ICTの活用に関しては、子供一人一人の障害の種類や状態、教育や生活等の環境が異なることを踏まえ、例えば、情報の入出力に係る障害を有する子供などをはじめとして、子供一人一人に想定される活用の困難さ、健康面への影響など、様々な課題を把握し、それに対するきめ細かな配慮を進め、誰一人取り残されることのないよう取り組んでいく必要がある。

○ 今後、更なる教育の情報化や技術革新が進む中で、特別支援教育におけるICTの活用について、指導内容の充実、障害者の社会参画の促進、QOLの増進、教師の負担軽減・校務改善等の幅広い観点を踏まえて、バランスよく、着実に対応すべきである。

2.ICT活用による指導の充実と教師の情報活用能力

(ICT活用による指導の充実)

○ ICTの活用は、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導、通常の学級のあらゆる場面で行われ、具体的には、デジタル教科書などを活用して授業内容の理解全般を助けるもののほか、例えば、視覚障害であれば、文字の拡大や音声読み上げ、聴覚障害では、音声を文字化するソフトや筆談アプリ等のコミュニケーションツール、知的障害では、動画やアニメーション機能を活用した学習内容を具体的にイメージする情報提示、肢体不自由では、視線入力装置による表現活動の広がりやコミュニケーションの代替、病弱では、病室と教室を結ぶ遠隔教育のシステム、発達障害では、書字や読字が難しい人にとってのコンピュータを用いた出入力や音声読み上げなどで情報の獲得が容易になるなど、多くの障害種に対し、その指導の充実に大きく寄与している。

○ 指導内容や指導方法の充実の観点からは、ICTは、例えば、タブレットを使った授業などで、自分の考えをタブレットに書いて自らの意見を視覚的に表現しやすくなるなど、集団学習における個に応じた支援に生かすことができる。将来的には、例えば、障害のある子供の個々の教育的ニーズに応じた適切な指導の観点から、教材等の使用状況を自動的に記録し、取組の過程や解答状況等をデータとして蓄積することにより、エビデンスに基づいた指導の質の向上を目指すことも期待される。
こうした活用の前提として、子供たち一人一人の障害の状態等や育成を目指す資質・能力、学習の習得状況等と照らし合わせながら、どのようにICTを活用した授業を実施していくことが適切なのか、ICTを活用した授業の在り方を引き続き検討していく必要がある。

○ さらに、ICTは、仮想現実などの技術を通じて、実体験に近づけることを可能とするものである。一般的な「学校から社会へ」という出向く形での実体験の機会に加えて、「社会を学校へ」という引き寄せる形での実体験の機会を可能にするものであり、この特性も指導面で活用していくことが可能である。

○ 在宅や入院で病気療養を続けるなど、障害のために通学して教育を受けることが困難な子供に対して、ICTの活用は指導の充実の観点から有効な場面も多い。また、同様に、基礎疾患があり、感染症防止対策から自宅などに待機する場合においても有効性が期待される。
現在、障害のために、通学して教育を受けることが困難な子供に対して、教師を派遣する形の訪問教育を実施しているが、一人の教師が複数の子供の指導に当たるため、訪問教育を受けている子供は学校に通学する子供と比べて週当たりの授業時数が少ない状況にある。今後、必要に応じて訪問教育とICTを活用した遠隔教育を組み合わせた指導により、訪問教育を受ける子供の学習機会が充実することが期待される。

○ 各教科等の指導と同様、自立活動の指導においても、その指導が必要な子供に対し、学校の授業として、基本的には対面での直接的なやりとりを通して学習が展開されているため、オンラインでの指導の実践事例は十分蓄積されていない。このため、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大による臨時休業では、各教科等の家庭学習やオンラインでの授業は工夫されていたが、自立活動の指導の多くは実施されていない状況があった。そこで、今後、オンラインを活用した自立活動の指導の可能性に鑑み、対面での指導や児童生徒同士の学び合いとのベストミックスに留意しながら、オンラインを活用した自立活動の指導の実施方法やその留意点について、実践的に研究を進めることが必要である。

(デジタル教科書・教材の活用)

○ デジタル教科書やデジタル教材は、特別支援教育において、視覚情報や音声情報を複合的に分かりやすく提示したり、必要な情報を簡単に取り出したりすることが可能であるなど、指導におけるツールとして非常に効果的である。さらに、これらのツールを積極的に活用することで、教材の作成に係る教師の負担軽減にも資するものである。今後、ICT環境の整備や教材の研究が進むことにより、更なる普及が期待される。特に、特別支援教育における文部科学省著作教科書のデジタル教科書化を進める必要がある。

(教師のICT活用スキルの向上等)

○ ICTは、障害のある子供たちの学習ツールとして便利である一方、子供一人一人の障害の状態等に応じて効果的な活用方法等が異なり、また、子供によっては一人で機器を活用することが難しかったり、家庭での支援も難しかったりする場合があることも踏まえつつ、一人一人の障害の状態等に応じた支援機器の整備が行われる必要があるとともに、指導する教師のICT活用スキルはこれまで以上に高いものが求められる。障害による困難さに対応した指導を行うためには、日頃から教職員が様々なICT機器についての知識を高めることが重要である。そのためには、リハビリテーション分野や工学分野など関係する分野からも情報を集めることが必要であるが、専門的であるがゆえに教師一人で担うことが難しい場合も多い。そこで、知見を有するICT支援員の確保や外部人材によるOJT研修の実施など、組織的な支援体制を構築し、学校でICTを活用できる体制を整備することが望まれる。

○ 一方で、大学等における養成段階でのICT活用スキルの育成も重要である。現在、教職課程の「教育の方法及び技術」及び「各教科の指導法」に関する科目の中で「情報機器の活用」が位置付けられているが、今後は、その中で、特別支援教育に着目したICT活用スキルも身に付けていくことが期待される。また、今後活用が進むと考えられる学習者用デジタル教科書を用いた指導法についても、子供の実態、活用事例、実演も交えて取り扱うことが期待される。

○ 現職研修の観点から、各教育委員会は、国の「教育の情報化に関する手引」を参考に、教職員のICT活用指導力として求められる具体的な専門性を整理し、研修の体系化やリーダーとなる教職員の人材育成に計画的に取り組む必要がある。

○ また、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所においては、引き続き、都道府県教育委員会等に対し、障害のある子供の学びをより充実させるためのICT活用に係る情報発信の充実を図ることが重要である。

(技術の進展と合理的配慮の提供の変化)

○ ICT技術の進展は速く、障害のある子供へのアシスティブ・テクノロジーについても、進展は急速である。よって、学校教育で提供が可能となる合理的配慮も、技術の進展とその整備とともに変化するものである。そこで、教育関係者は、定期試験や入試等における対応などの合理的配慮の提供に関して、時代や技術の進歩に伴った各種計画等における障害のある子供への対応の在り方を随時考えていく姿勢が必要である。

3 ICT環境の整備と校務のICT化

(ICT機器の整備とGIGAスクール構想)

○ 特別支援教育におけるICT環境については、学校全般と同様、課題がある。元来、児童生徒一人あたりのPC台数の整備状況については、小中学校の通常の学級などと比べ、比較的整備がなされてきた(平成29 年度:全学校種5.6 人/台、特別支援学校2.7 人/台)が、あらゆる場面でPCを活用するような整備状況には程遠かった。しかし、現在は、GIGAスクール構想の全面展開が図られており、近いうちに児童生徒一人一台の端末配備が実現することになる。また、家庭での利活用も想定し、家庭へのモバイルルーターの貸与も行われている。さらに、特別な配慮や支援を必要とする子供にとっては、端末を使用するための支援機器が必要な場合もあり、個々の障害の状態等に応じた支援機器の整備も行われている。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行が再び拡大した場合などを想定し、できる限り早急に学校に導入し、個々に応じたICT機器の利活用体制を整備するとともに、どのような学習において効果的に活用できるか、実践を積み重ねていくことが必要である。

○ そのほか、ICT機器の進歩が加速する中で、ICT機器本体はもちろん、特別支援教育において不可欠な支援機器の維持や更新を適切に図ることも重要である。また、小中高等学校の各学級において整備がなされても、特に、通級による指導において十分に活用できるものとなっているか、また、通級による指導での一人一人の教育的ニーズに合わせた活用が、通常の学級における実践に反映されているかなど、その活用状況にも十分に留意していく必要がある。

(学校のICT環境の整備)

○ このように、GIGAスクール構想で、子供側の端末整備やWIFI環境の整備が進む中、特別支援教育において、特に留意しなければならないのは、学校側のICT環境である。
もともと、特別支援学校のICT環境は、特に、校務系のコンピュータ整備率が全学校種平均を下回っているほか、統合型校務支援システム整備率も低く、学校経営上課題が大きい。
また、拠点校方式や巡回による通級による指導など、学校を超えて情報の共有や連携を必要とする場合のICT環境の整備の必要性などの課題もある。このことは、新型コロナウイルス感染症に係る今般の状況下においても、学校からICTを活用した教育活動や保護者との連携が十分とは言えない状況も散見された。今後、子供側の端末整備とともに、学校や教師側のICT環境の基盤整備も着実に進めていく必要がある。
また、障害当事者の教師にとっても、ICT機器は指導に当たって大きなメリットがあり、障害者の活躍の観点から、学校における必要な環境整備が期待される。

(ソフト面の整備と支援人材の確保)

○ 一方、ハード面が今後急速に整備されたとしても、支援技術を含めたICTの活用に関して、ソフト面の整備やそれを支援できる人材の確保が必要である。特別支援教育の状況を理解し、支援技術や障害に関する知識を有している支援員の確保・養成が課題である。

(校務のICT化)

○ 特別支援教育におけるICT利活用において、特に課題となるのは、校務のICT化である。まず、特別支援教育の支援や指導の基本となる個別の教育支援計画や個別の指導計画がICTを介して学校内外で的確に共有することが困難な事例が少なくない。その背景としては、その内容について関係者間の連携が不十分な上に、これは、校務系の情報システムの基盤である統合型校務支援システムにおいて、特別支援教育に配慮したシステムが形成されていないことも一つの理由であると考えられ、こうしたシステムの未整備が、切れ目ない支援に向けた関係機関間の必要な情報の共有を難しくしている側面もあるとされる。今後、特別支援教育においても、より統合型校務支援システムを活用した情報の作成・管理が行われるよう、例えば、都道府県やシステムの開発業者に対して、特別支援教育に配慮したシステム開発を促していく必要があり、個別の教育支援計画の項目の標準化が必要との指摘も踏まえ、今後、文部科学省において、速やかにその参考となる資料を示すなど、支援を進めていく必要がある。

○ また、従来では日程調整に時間がかかったり、簡素化が難しかったりする業務、例えば、教育委員会の指導主事や専門家などのスーパーバイザーによる通級指導教室担当へのリアルタイムのコンサルテーション、他校の通級指導教室と在籍校、教育センターとのケース会議、あるいは学校間の交流及び共同学習を行うにあたっての打ち合わせなど、遠隔のテレビ会議システム等のテクノロジーを使って充実できる部分は大きいと考えられる。加えて、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、日々、保護者と学校とが共有すべき各種の連絡事項等についても、ICTを活用して迅速かつ簡便に共有できる体制を幅広く構築する必要がある。特に、医療的ケア児等医療情報共有システム(MEIS:Medical EmergencyInformation Share)は、保護者と学校の医療的ケア児に関する情報共有と連携を簡便で容易にするものであることから、学校や保護者、関係機関での情報共有のツールとしての積極的な活用に向けた更なる検討が期待される。

(今後の機器開発等の在り方)

○ 今後は、技術革新のスピードが更に上がることが想定されることから、迅速な活用や開発に向け、技術革新に関する知見を有する者と障害当事者を積極的につなげていくことが重要である。特に、特別支援教育における障害当事者を含めた新たなICTの共同開発など、当事者のニーズに即した形で最新技術を開発していくことが求められる。

4.関係機関の連携と情報の共有

○ 特別支援教育においては、特別支援学校のセンター的機能などによる特別支援学校と幼・小・中・高等学校等の連携、学校と保健・医療・福祉・雇用との連携など、当該学校を超えた情報連携が求められる場合が数多くある。そのため、セキュリティなどに配慮しつつ、ICTを活用した情報連携が容易となるよう、関係機関とともに更なる課題の整理と検討を進める必要がある。

とりあえずの第一報で。

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